いろんな人がいろんな場所で、中国の脅威について書かれています。今更何か新しいことが書けるのか分かりませんが、設計者が中国をどう見ているか、今の時点での見方を書きたいと思います。
設計者が中国を利用する理由は、人件費が安いからです。日本の五分の一と言われるその安さだけが、中国の魅力です。中国の組み立て工場では、人がトランスファーマシーンのように並び、トランスファーマシーン並みの単純作業を繰り返しています。ホントに一つの部品をねじ止めしたら、次の人に渡すという単純作業です。日本では、2、3人で出来そうなことを10数人で一つのラインを作り、組み立てを行っています。何故か、それは作業者一人一人が定着しないからです。全ての作業者が数カ月で辞めていくそうです。しかし、工場の外は仕事を求める人があふれていて、安く若い労働者をいくらでも雇えるそうです。つまり来たばかりの若い人に、直ぐ出来る様な作業しかさせられないということです。それで、安く作れるのです。
中国もそんな粗悪品ばっかり作っているような工場ばかりでなく、きちんとした技術を持ったメーカーもある。と、よくニュースでコメンテーターが言ったりしています。「日本もうかうかしていられませんね。」と締めくくられます。確かに、高い技術力を持ったメーカーも中国にあります。しかし、そこは高いのです。そりゃそうです、日本で作られた工作機械を輸入し、その高度な機械を使える優秀な人材を使っているからです。そしてその優秀な人材はかなり人件費が高いのです。製品のコストは、人件費、設備費、材料費、利益、で決まります。設備費は日本から輸入しているので、変わりません。材料費は、微々たるもんです。人件費、今まで安かった人件費も、優秀な人材を確保するため高くならざるえません。結局、中国からの輸送費など考えると、高い技術力を持ったメーカーと取引する、メリットが無くなります。設計者は安いところをどう使うか、今も考えているはずです。
中国の高い技術が脅威となるためには、世界の工場と呼ばれ、安い労働力を海外のメーカーに提供する段階ではだめで、独自の高い技術力を生かした製品を開発した時になるでしょう。
現在の中国脅威論は、中国のリスクに移っているようにも感じます。このまま中国で生産し続けることが出来るのか、政治体制は安定なのだろうか、対日感情は?、そう言ったことや、徐々に上がる作業者の給料などもあり、中国から東南アジアへ工場が移っているようです。日本から工場がどんどん遠いところへ移ってしまうのでしょうか。韓国→中国→東南アジア→インド→中東へ。
日本は相変わらず不況です、工業は海外に移転してゆき、経営者も技術者も海外へ出て行ってしまいます。雇用は生まれず、安さを求める流れは、変わらない。どこかで、日本に流れを引き戻さない限り、日本からモノ作りが消えてしまうのでは無いでしょうか。ありがたいことに、Made in Japanという神話はまだ生きています。高くても信頼性ある製品を求めてくれる人に向け、Made in Japanをアピールする製品やメーカーが多く出てきてくれると、私も仕事先を見つけることが出来るかもしれません。
0 件のコメント:
コメントを投稿